ウェッジウッドのバックスタンプ(刻印)について解説!
今回は、大人気の食器ブランド『ウェッジウッド』のバックスタンプについて解説します。
バックスタンプは食器の底についている刻印のこと。
普段はなかなか目に入らない場所ですが、よくよく見てみると実は面白い発見があるかも!
というわけで、 「そこまで確認したことなかった……」 という方も、ぜひこの機会にご覧になってみてください。
目次
- 1 ウェッジウッドのバックスタンプ(刻印)には何が記載されている?
- 2 ポートランドの壷について
- 3 バックスタンプが違うのは偽物?
- 3.1 数々のバックスタンプ
- 3.1.1 ・1759年~1769年(パターン1)
- 3.1.2 ・1759年~1769年(パターン2)
- 3.1.3 ・1764年~1769年(パターン3)
- 3.1.4 ・1769年~
- 3.1.5 ・1769~1780年(パターン1)
- 3.1.6 ・1769年~1780年(パターン2)
- 3.1.7 ・1769年~1780年(パターン3)
- 3.1.8 ・1769年~1780年(パターン4)
- 3.1.9 ・1769年~1780年(パターン5)
- 3.1.10 ・1769年~1780年(パターン6)
- 3.1.11 ・1769年~1780年(パターン7)
- 3.1.12 ・1780年~
- 3.1.13 ・1805年~
- 3.1.14 ・1878年~
- 3.1.15 ・1940年~
- 3.1.16 ・1998年以降
- 3.1.17 ・2005年以降(現在)
- 3.1 数々のバックスタンプ
- 4 まとめ
ウェッジウッドのバックスタンプ(刻印)には何が記載されている?
ブランド食器には「バックスタンプ」と呼ばれる刻印があります。
これはプレートであるなら裏面、ティーカップやポットであれば底にあたる場所に型押し(もしくは印刷)されています。
「ブランドのロゴが書いてあるんでしょう?」
そう思われた方、正解です。しかし、それだけではないのです。
例えば、年代。
直接「○○○○年に製造」と書かれているわけではありませんが、バックスタンプのマークは年代によってまったく異なります。
とくにウェッジウッドは260年という長い歴史があり、このあいだに20回以上バックスタンプの変更を行っています。よって、「初心者でも年代が特定しやすい」といわれているのです。
そして、シリーズ名。
よほど熱心な食器コレクターの方なら、バックスタンプを見ずともシリーズ名がお分かりになることもあるようですが、そういう方ばかりではありません。
ウェッジウッドのバックスタンプにはブランド名の下にシリーズ名が書かれているので、「名前が思い出せない……」というときに見てみるとよいでしょう。
さらに、ウェッジウッドのバックスタンプには「素材」についても記載されています。
ウェッジウッドは牛骨の灰を混ぜ込んで製造する「ボーンチャイナ」が有名ですが、ボーンチャイナのものには「BONE CHINA」と記載があります。
また、製造場所も特定することができます。
ウェッジウッドの多くの製品はイギリス製で、「MADE IN ENGLAND」と記されていますが、中には「MADE IN PORTUGAL」と記されており、ポルトガルで製造されたことがわかるものもあります。
このように、バックスタンプからさまざまな情報を得ることができるのです。
このブログの後半では年代ごとの特徴について紹介していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
ポートランドの壷について
ウェッジウッドのバックスタンプには壺が描かれているものがあります。
これは「ポートランドの壺」と呼ばれているもので、ウェッジウッドが現在シンボルマークとして用いているものになります。
この壺のモデルは実在するもので、16世紀、古代ローマ皇帝のお墓から発見されたガラス製の壺だといいます。一説によると、発見された壺は紀元前~14年(西暦)のあいだに作られたものとのことで、しばらくは貴族たちの観賞用品とされていました。
それから長い時を超え、“ポートランド夫人”の手に渡ったことからこの壺が「ポートランドの壺」と呼ばれるようになったといいます。
「ポートランドの壺を模したものを作りたい」
創業者のジョサイア・ウェッジウッドはこう考え、ウェッジウッドにしかできないポートランドの壺を作ることを決心。ウェッジウッド氏が数千回の実験をして完成させた『ジャスパー』シリーズでポートランドの壺の再現を試みたのです。
完成した「ジャスパー製のポートランドの壺」は繊細なカメオ装飾が美しく、「まるで本物のポートランドの壺のようだ」といわれるほどの出来でした。
実際に本家の壺が破損したときにジャスパー製ポートランドの壺が参考にされたという話も残っており、このふたつの壺は現在ロンドンにある大英博物館で大切に保管されています。
こうした一件もあり、ウェッジウッド社は「最高品質である証」としてロゴにポートランドの壺のシルエットを採用することにしました。
これは現在のバックスタンプでも採用されており、ウェッジウッドの「W」の中間で確認することができます。
バックスタンプが違うのは偽物?
お伝えしてきたように、ウェッジウッドは250年の中で20回以上バックスタンプの変更を行っています。
現在のものと20年前、さらには80年前のものとはまったく異なるため、「偽物?」と不安に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、それは現在販売されているものより昔のもの、「ヴィンテージ品」や「アンティーク品」である可能性があります。
ここで、バックスタンプの一部をご紹介します。ぜひお持ちのウェッジウッドのバックスタンプと見比べてみてください。
数々のバックスタンプ
・1759年~1769年(パターン1)
創業開始当初のバックスタンプです。ジョサイア・ウェッジウッドの手書きという説もあります。「wedgwood」と小文字で記されているだけの、非常にシンプルなバックスタンプです。
・1759年~1769年(パターン2)
手書き風ではなく、明朝体のようなフォントで上段に大文字の「WEDGWOOD」、下段に小文字の「wedgwood」が記されています。
・1764年~1769年(パターン3)
手書き風フォントで「WEDGWOOD」と大文字で記されています。こちらはたった5年程度しか使われていなかったロゴで、なかなか見られることはありません。
・1769年~
ジョサイア・ウェッジウッドの共同経営者となるトーマス・ベントレー氏の名前が記されているのがポイントです。
1769年は、ジョサイア氏とベントレー氏がエトルリア工場をオープンさせた年ということもあり、エトルリア工場で生産した食器にこのバックスタンプが付けられました。
「WEDGWOOD&BENTLEY」と、二人の名が円を描くように描かれています。
・1769~1780年(パターン1)
ここで、バックスタンプに壺、もしくは人物の上半身にも見える絵が付けられます。縁があり、「WEDGWOOD」と「ETRURIA(エトルリア)」と書かれた文字が確認できます。
・1769年~1780年(パターン2)
絵がないタイプのバックスタンプです。「WEDGWOOD&BENTLEY:ETRURIA」と円を描くように記されており、中央に円状のマークが見られます。
・1769年~1780年(パターン3)
筆記体で「Wedgwood&Bentley」と記されています。
・1769年~1780年(パターン4)
上段に「Wedgwood」、下段に「&Bentley」と記されています。そして二人の名の下にはシリアルナンバーが記されています。
・1769年~1780年(パターン5)
「W.&B.」と二人の名前の頭文字だけを記した非常にシンプルなバックスタンプです。
・1769年~1780年(パターン6)
「Wedgwood & Bentley」と楕円形を描くように記されています。
・1769年~1780年(パターン7)
大文字で「Wedgwood」、下段に「& Bentley」この文字を小さくしたものがもうひとつ記されています。
・1780年~
ベントレー氏亡きあとは「WEDGWOOD」「Wedgwood」とブランド名だけがバックスタンプに使われています。
・1805年~
経営者がジョサイアの息子であるジョサイア・ウェッジウッド2世に変わり、バックスタンプも変わりました。
「JOSIAH WEDGWOOD Feb.21805」と記されています。
・1878年~
壺のマークの下に「WEDGWOOD」と記されています。本格的にボーンチャイナの製造をしていく頃と見られており、途中からブランド名が登録商標になったことを示すⓇが付け加えられました。
・1940年~
クィーンズウェアシリーズのみに付けられたバックスタンプで、中央に「WEDGWOOD」、下段に「MADE IN ENGLAND」、これを円で囲むように「of ETRURIA」「&BARLASTON」と書かれています。
・1998年以降
前述した「ポートランドの壺」のシルエットが採用されているマークの下段に、WEDGWOODⓇENGLANDと記されています。
・2005年以降(現在)
ポートランドの壺のマークの下段にグラスとフォークのマークが加えられています。このマークはEU版の食品衛生法に従って「合格」を受けた証です。ブランド名はありません。
まとめ
いかがでしょうか。
今回はウェッジウッドのバックスタンプについてまとめてみました。
しかし、ここで紹介したものはすべてではありません。
真偽が気になる……という方は、ぜひ専門の査定を受けれられることをおすすめします。
なお、売却についてお考えの方はぜひ福ちゃんにご相談ください。
食器に精通した査定士が無料で査定を行わせていただきます。