ボーンチャイナとは?白磁器との違い、有名ブランドをご紹介
食器を見ていると、よく見かける「ボーンチャイナ」という言葉。
「ボーンチャイナってなに?白磁器とは違うの?」 と疑問に思われている方もいらっしゃることかと思います。
そこで今回はボーンチャイナと白磁器の違い、有名ブランドについてまとめてみました。
「ギフトにも人気なボーンチャイナのブランドを知りたい」 という方にもご覧になっていただける内容になっておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ボーンチャイナとは
ボーンチャイナは18世紀ごろ、イギリスで誕生した磁器のことをさします。
名前の後ろに「チャイナ(China)」とあるため、中国で作られている器(うつわ)と思われている方もいらっしゃるのですが、ボーンチャイナを確立させたのはイギリスです。
ボーンチャイナ最大の特徴は原料に牛の骨灰が含まれていること。
これが「ボーン(Bone=骨)」の由来です。
ちなみに、「ボーンチャイナ」と呼ぶ規格は国によって異なります。
イギリスでは「素地の中に骨灰が35%以上含まれているもの」としていますが、日本では素地中に骨灰が30%以上含まれているものを指します。
歴史について
ヨーロッパに東洋(主に中国)の陶磁器が伝わったのは13世紀ごろとされていますが、製造方法は伝わっておらず、白い陶器は「貴族や王族だけが楽しめるもの」とされていました。
何百年ものあいだ「再現ができない代物」とされていた陶磁器ですが、これを可能とさせたのが当時ヨーロッパで大きな権力を持つアウグスト王でした。
彼も相当な白磁収集家で、特に日本の伊万里焼を愛していたといいます。
そんな彼がドイツで腕利きの錬金術師に白磁制作を命じ、白磁制作に見事成功したことから、ドイツのマイセン地方で白磁制作がはじまりました。
やがて、ドイツ以外の国々でも白磁制作が行われるようになったのですが、製造には「カオリン」という成分が必須でした。
しかし、イギリスではこのカオリンを入手することができなかったため、代わりのものを使って白い磁器の製造を試みます。
このとき使われたのが牛骨の灰(ボーンチャイナ)だったのです。
ボーンチャイナには下記のような特徴があります。
特徴
ボーンチャイナは一般的に「乳白色」といわれていますが真っ白なボーンチャイナも存在します。
これを分けるポイントとなるのは牛骨の灰の量と、焼成の際の「酸素」の量です。
牛骨の灰が多く酸素を含む炎で焼成すると乳白色に、牛骨の灰が少なく、酸素が少ない炎で焼成すると白さが際立つボーンチャイナとなります。
また、ボーンチャイナは「丈夫」という特徴を持ちます。
詳細はこのあとの『白磁器との違い』で説明しますが、ボーンチャイナは白磁器の約2倍の強度があるといわれています。
白磁器とボーンチャイナの違い
白い磁器、という意味でボーンチャイナも白磁器に分類されることがありますが、磁器の世界では白磁器とボーンチャイナはまったく違うものとして区別しています。
ここでは、その違いについてまとめてみました。
成分・色味
前述したように、白磁器の白さは「カオリン」という成分が含まれています。ボーンチャイナはこのカオリンの代わりに牛骨の灰を使用しているという違いがあります。
これにより、白磁器は青白さを感じる白、ボーンチャイナは象牙を思わせるような白さ(乳白色)に仕上がります。
また牛骨の灰に含まれるカルシウムが化学反応を起こすため、ボーンチャイナは白磁器の2倍の強さを持つといいます。
焼成方法
二度焼成を行うという点は同じですが、大きな違いは「炎に酸素を含んでいるか否か」です。
白磁器は酸素をたくさん含んだ「還元炎」で、約1300℃で焼き上げを行います。一方ボーンチャイナは酸素の含有量が少ない「酸化炎」、約1000℃~1200で焼き上げます。
また磁器の焼成には釉薬(「ゆうやく」。ガラス質のコーティング剤のようなもの)が必須となりますが、ボーンチャイナは一度目でこの釉薬を使うことはせず、二度目の焼成で釉薬を吹きかけます。
また釉薬の種類も異なることから、白磁器より多彩な仕上がりにすることが可能といわれています。
絵付け
「焼成方法」で触れたように、白磁器はボーンチャイナより高い温度で焼成を行っており、この温度に耐えられる釉薬を使用しなければなりません。
一方ボーンチャイナは白磁器より低い温度で焼成を行うため、白磁器では使用できない釉薬を使うことができます。
白磁器より多くの顔料を使うことができる、つまり「鮮やかなデザインが可能になる」というのも大きな違いとなります。
透光性
一般的にはどちらかも透光性が高いといわれていますが、白磁器とボーンチャイナを並べてみると若干ボーンチャイナのほうが「透光性が高い」といえます。
有名ブランドの紹介
ここではボーンチャイナで有名なブランドをいくつかご紹介します。今後の贈り物探しにお役立ていただけたら幸いです。
ウェッジウッド
イギリスを代表する磁器ブランド「ウェッジウッド(Wedgwood)」。
創業は1759年。創業者のジョサイア・ウエッジウッドは王室がプライベートで使用するテーブルウェアの作成を命じられました。完成した食器を大変気に入ったシャーロット王妃。「クイーンズ・ウェア」という名前を贈り、愛用したといいます。
こうして王室御用達ブランドとなったウェッジウッドですが、ウェッジウッド社製ボーンチャイナを完成させたのは初代ウェッジウッドの息子ジョサイア・ウェッジウッド2世だといわれています。
20世紀以降は一般市民の手に届くテーブルウェアづくりを続けており、現在も世界トップクラスの磁器ブランドとして高い人気・知名度を誇っています。
代表作に『ワイルドストロベリー』、『ホワイトチャイナ』、『ソーラー』があります。この『ソーラー』は牛骨の灰を50%以上使用している「ファイン・ボーンチャイナ」としても知られています。
ロイヤルドルトン
1815年、イギリスの小さな村で誕生した磁器ブランドです。
創業者はジョン・ドルトンとジョン・ワットのふたりで、当初は水差しやウィスキーボトルなどを製造する工房を運営していました。
しかし、ジョン・ドルトンの息子ヘンリー・ドルトンが経営に加わると、製造ラインの効率が大幅に向上。これによって衛生用品、排水管などのライフラインを支える陶器工場へと急成長します。
そこから自社の方向性を「芸術」「美術」に変えた2代目のドルトン。美術学生を積極的に受け入れ、ボーンチャイナの制作に励みます。
パリ万博に出品した作品はグランプリを獲得し、ヴィクトリア女王に購入されるなど、世界中に「ドルトン」の名を広めることになりました。
1901年には名誉ある称号「ロイヤル」を獲得。以降「ロイヤルドルトン」として、高品質なテーブルウェアの製造・販売を続けています。
ミントン
1793年にイギリスで誕生したミントン。可憐な花柄の『ハドンホール』は日本でも人気が高く、ミントンの代名詞にもなっています。
そんなミントン、金彩をたっぷり使用した豪華なボーンチャイナを作成しヴィクトリア女王から「世界でもっとも美しいボーンチャイナ」といわれたことでも有名です。
ミントンはかつて日本の老舗百貨店などで見かけることができましたが、現在はロイヤルドルトンに買収されています。
ミントン時代の食器は非常に希少価値が高く、中古市場でも高い需要があるといわれています。
まとめ
いかがでしょうか。今回は「ボーンチャイナ」についてまとめてみました。
一見して白磁器との違いを見抜くことは難しいといわれていますが、一度手に取るとそのあたたかみ、なめらかな質感に心を奪われるといいます。
なお、福ちゃんではボーンチャイナの買取を行っています。
査定は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。