世界一高いカメラとは?驚異の3億超えで落札されたカメラについて解説
そもそもカメラとは高い価値を持つ機器ではありますが、中古市場では古いカメラが新品のカメラよりもはるかに高い価格で取引されています。特に、有名メーカーのフィルムカメラや希少性の高いカメラは高い価値を持ち、中には日本円で数千万円、あるいは数億円という驚異的な価値がつくカメラも存在します。
ここでは、そんな「世界一高いカメラ」について解説したいと思います。
どんなカメラで、どのくらいの価値を持つものなのでしょうか。
目次
世界一高いカメラは『Leica 0-series no.122』
さっそく、世界一高いカメラとは何なのか、解説してみたいと思います。
時は2018年3月10日。
オーストリアの首都ウィーンで、第32回の「ヴェストリヒト・カメラオークション」が開催されました。
ヴェストリヒト・ギャラリーというアンティークのカメラを専門に扱うオークションハウスで開催されたこのオークションにはさまざまなカメラが出品されましたが、そんな中で世界に衝撃を与えたのは、「世界一の落札額」が更新されたことでした。
それまでは、2012年に落札されたライカの『Leica 0-series no.116』が最高額の記録を保持していましたが(落札額は216万ユーロ)、このときは当時の記録をはるかに上回る240万ユーロで落札されたのです。240万ユーロといえば、日本円にすると約3億1500万円となります。
この驚異的な落札額を実現したカメラは、同じくライカの『Leica 0-series no.122』でした。
これは、いわゆる「0シリーズ=ゼロ型」と呼ばれる種類のライカで、ドイツ語では「ヌル・ライカ」と呼ばれます。ドイツ語の「ヌル(Null)」は「ゼロ」を意味します。
製作されたのは1923年のこと。
2年後の1925年に発表され、画期的なモデルとして世界的な話題を呼んだ『ライカA』の試作機として開発されたカメラでした。
幸運な落札者の名前は明らかにされていませんが、アジアの人物であったと伝えられています。
ちなみに、ヌル・ライカには部品の形状の違いなどによっていくつかの種類がありますが、『Leica 0-series no.122』の同一モデルは25台製作され、現在はそのうち3台のみが開発された当初の姿をほとんど完璧に備えているとのこと。実に貴重なカメラであったわけです。
その他の高額カメラたち
さて、世界で最も高い3億超えの価格で落札された『Leica 0-series no.122』ですが、高額で落札されたカメラは他にもたくさんあります。
ここでは、特に有名なものを紹介してみましょう。
『Leica 0-series no.116』
こちらもライカ(Leica)のカメラであり、『Leica 0-series no.122』と同じく「ヌル・ライカ」のひとつとして知られているものです。
『Leica 0-series no.122』と同じ試作機ではありますが、ファインダーの形状に違いが見られます。
2012年、216万ユーロ(日本円で約2億8500万円)という価格で落札されました。
2018年に『Leica 0-series no.122』が落札されるまでは、こちらのカメラが“世界一高いカメラ”として君臨していたわけですが、世界1・2位がともにライカ製のカメラというのもすごい話です。
『Hasselblad LUNAR MODULE PILOT CAMERA Jim Irwin – Apollo 15』
こちらはスウェーデンのカメラメーカー「ハッセルブラッド(Hasselblad)」のカメラです。
ハッセルブラッドは現在、中国企業の傘下にありますが、1800年代創業の歴史あるカメラメーカーであり、世界初の一眼レフカメラを開発したことで知られています。
そんなハッセルブラッドの『LUNAR MODULE PILOT CAMERA Jim Irwin – Apollo 15』は、1971年に打ち上げられ、4回目の月面着陸に成功したアポロ15号に積まれていたカメラです。パイロットであるJim Irwin(ジェームズ・アーウィン)が使用し、月面の貴重な風景を収めることに成功しました。
このカメラは2014年、オークションに出品され、日本円にして約9300万円にものぼる66万ユーロで落札されました。落札したのは、日本のヨドバシカメラの創始者である藤沢昭和さんだったそうです。
現行機種でいちばん高いカメラは?
ここまでは、オークションで落札されたアンティークカメラを紹介しましたが、現行の機種としてはどのカメラがいちばん高額なのでしょうか。
さっそく紹介すると、それはハッセルブラッドの『H6D-400C MULTI-SHOT』というカメラです。
有効画素数が1億という驚異的な数字を誇る超高解像度のカメラで、価格は約640万円。なかなか気軽に購入できるカメラではありませんが、「カメラを買うなら画質に極限までこだわりたい」という方はチェックしてみるといいかもしれません。
世界一高いカメラレンズは『APO-Telyt-R 1600mm F5.6』
さて、ついでなのでカメラだけでなく、レンズについても解説しておきたいと思います。
世界でいちばん高いカメラレンズとは?
それは、これもまたライカのレンズで、『APO-Telyt-R 1600mm F5.6』という名称を持っています。
名称通り焦点距離1600mmという高機能を誇る望遠レンズとして開発されたものであり、いかにも堅牢そうなフォルムが印象的です。
価格は200万ドル。日本円にして、約2億円です。
価格が高いだけでなくサイズや重量も相当なもので、口径は42cmで全長は約1.2m、そして重量は60kgほどあるとされています。
ひとりで気軽に持ち運ぶにはあまり現実的ではありませんし、金額としても気軽に購入できるようなものではありませんが、望遠レンズの最高峰を求めているという方は一度チェックしてみてもいいかもしれません。
ちなみに、こちらのカメラレンズはドイツのライカ本社のショールームに展示されており、実物に触れることもできるとのことです。機会があれば一度目にしてみてはいかがでしょうか。
ライカのカメラやレンズはなぜ高い?
今回は「世界一高いカメラ」というテーマでお送りしましたが、いかがでしょうか。
世界一の高額で落札されたカメラは、ライカの『Leica 0-series no.122』であり、世界で2番目に高い金額で落札されたカメラもライカ製でした。
そして、世界でいちばん高い価値を持つカメラレンズもまた、ライカの『APO-Telyt-R 1600mm F5.6』となっています。
こうして見ると、「ライカのカメラやレンズはすごい」という感想を持たざるを得ませんが、なぜライカのカメラやレンズはこれほど高額なのでしょうか。
簡単に解説すると、そもそもライカのカメラは数に限りがあるということが挙げられます。
ライカは徹底した高級・高品質志向を持つメーカーであり、大量生産に重きを置いてはいません。優れたデザイン性や複雑な機構を持つカメラを、ひとつひとつ丁寧に仕上げることに注力しています。
そのこともあり、大量に商品が出回ることがなく、その分だけ希少価値が高くなるわけです。
またすでに紹介したように、『Leica 0-series no.122』の場合はそもそもが試作品(プロトタイプ)として開発されたカメラということもあり、より高い価値が付いているといえます。
また、高品質志向を持つメーカーということで、ライカは徹底的に素材にこだわっているのもポイントのひとつ。高価な素材を使用しているため、できあがるカメラやレンズもまた高額になるというわけです。
今回取り上げた『Leica 0-series no.122』や『APO-Telyt-R 1600mm F5.6』ほどにはならないにしても、ライカは一般に高い価値を持ちます。
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