数億円にものぼる!?ストラディバリウスが高い理由
世界一高いバイオリンとして有名なため、名前を聞いたことがあるという方も多いかと思います。
しかし、「なぜそんなに高いのか?」という点についてはあまり知られていないのではないでしょうか。
本コラムでは、ストラディバリウスの値段が高額な理由についてまとめてみました。
専門知識、音楽経験は不要です。ぜひ、気楽にご覧ください。
目次
ストラディバリウスとは
ストラディバリウスは、イタリアの弦楽器職人アントニオ・ストラディバリとその子であるフランチェスコ、オモボノが制作した弦楽器のことを指します。
「弦楽器?バイオリンだけではないの?」
そうなんです。
「ストラディバリウス=バイオリン」と思われている方が多いのですが、実はストラディバリはバイオリンのほかチェロ、ヴィオラ、マンドリンといった弦楽器を制作しています。
しかし、生涯現役で1000挺にものぼるバイオリンを作ったという実績から、一般的にもストラディバリ=バイオリン職人というイメージが定着しています。
ちなみに、現存するストラディバリウスの弦楽器は、全部で約700挺といわれています。
内訳は下記のとおりです。
【バイオリン】600挺以上
【チェロ】約60挺
【ヴィオラ】10挺未満
【マンドリン】2挺
「1000挺以上作ったバイオリンのうち、600挺が現存している」ということに対して、「600挺しか残っていないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、この数字は「非常に多い」のです。
ストラディバリウスは17世紀後半から18世紀初頭にかけて作られた楽器です。
約300年前の楽器が半数以上も楽器として姿形を変えず、音を奏でられる状態で残るということは類い稀なことといっても過言ではありません。
「ストラディバリウス」の由来
ストラディバリによって製作された弦楽器が「ストラディバリウス」と呼ばれているのは、あるエピソードが関係しています。
時は18世紀……当時、「弦楽器には制作者を示すラベルをつけること」という法律がありました。しかも、「名前はラテン語で記載すること」という内容となっていたのです。
イタリア人のストラディバリは自身の名前をラテン語風に変え、「ストラディバリウス」とラベル付けをしました。これが、ストラディバリウスと呼ばれる理由です。
世界三大バイオリンとは
世界三大バイオリンとは、「ストラディバリウス」「アマティ」「ガルネリウス」の3つのバイオリンを指します。
「世界三大」というからには、ヨーロッパ各地に点在しているのかと思いきや……三大バイオリンはすべて同じイタリアのクレモナ市発祥となっています。
そもそもバイオリンは16世紀はじめに現在の形になったといわれていますが、この形状やデザインを定着させたのは「アマティ」の創始者であるアンドレア・アマティだといわれています。
そして、アンドレア・アマティの孫にあたる3代目ニコロ・アマティは先代を越えるバイオリンを生み出し、多くの楽器職人を育て上げました。
何を隠そう、「ストラディバリウス」を手がけたストラディバリと、「ガルネリウス」の制作者ガルネリは「アマティ」の同門です。
このように、クレモナ市は「世界三大バイオリンとバイオリン制作者が誕生した町」として熱心な音楽ファンに愛されており、現在でも「聖地巡礼」を行う人が少なくありません。
ストラディバリウスの特徴
ストラディバリウスの特徴は、その特徴的な「音」と、使用されている「木材」です。
ここでその詳細を説明していきます。
ストラディバリウスの音
ストラディバリが独立した頃、ヨーロッパでは空前の「バロックブーム」が巻き起こっていました。
「バロック」とは17世紀初頭から18世紀中期までに流行ったクラシックのジャンルで、あの有名な『パッヘルベルのカノン』や『G線上のアリア』もバロックに含まれます。
そして、バロック期になると音楽は「ミサ」や「歌」を主体としたものから「演奏」を主体としたものへと変わり、バイオリンはバロック音楽に欠かせない楽器となりました。
こうした時代の変化を肌で感じとったストラディバリは「大きな舞台でも美しい音色を届けられるように」と、バイオリンの品質改良を重ねました。
こうして作られるストラディバリウスの音色は、「ダイナミックで優雅」「パワフルで奥深い」といわれています。
しかも、この音色が出せるのはストラディバリウスのみ。
「ストラディバリウスを超える音色を持つバイオリンは後にも先にも表れない」
「ストラディバリウスの音色を真似するのは不可能」
といわれています。
ストラディバリウスの木材
ストラディバリウスがなぜ他のバイオリンと違うか、これまでにさまざまな学説や憶測が飛び交いました。
これまでは、
・ニスの塗り方がほかのバイオリンと違う
・湯煎した木材を使用した
などの説が有力とされていましたが、近年の研究によって木材の「年輪」が他のバイオリンと異なるということがわかったのです。
ストラディバリが生きた時代、ヨーロッパは「小氷期」と呼ばれる時期の真っただ中でした。夏の暑さがなくなり、いわば「プチ氷河期」というべき時期に当たります。
このような気候が続くことは、自然界に大きな影響を与えます。
バイオリンの原料である木も大きな影響を受けました。
通常、木はあたたかい時期と寒い時期を経て、独特な模様の年輪を作り出します。
しかし、夏がない小氷期は温度がほぼ一定であるため、木の密度や年輪の幅が一定になるという自然現象が起こったのです。
この木材を使用して作られたストラディバリウスは、独特のパワフルさを持つ音を奏でることができるようになりました。まさしく「自然の恩恵」といえるでしょう。
ストラディバリウスが高額の理由
ここでストラディバリウスが高価な理由について説明していきたいと思います。
歴史
バイオリンにかかわらず、100年以上経過した美術品、工芸品は「アンティーク」また「骨董品」と呼ばれます。
ストラディバリウスは300年もの歴史があります。
単純に、「300年前の楽器が残っている」ということだけでも高い価値が認められるのですが、ストラディバリウスは作り手であるストラディバリが選定した木材、そして高度な技術が詰め込まれているという点でも高い評価を受けているのです。
また、「300年たった今でも演奏されている」ということも重要なポイントになります。
楽器の最大のメンテナンスは「定期的に弾くこと」といわれますが、ストラディバリウスは壊れたり、雑に扱われたりすることなく、300年以上、世界有数のバイオリニストたちに大事に扱われ、演奏されてきました。
この歴史の重さが、他の骨董品や楽器とは異なるのです。
音色
先ほどもお伝えしたように、ストラディバリウスにしか出せない音色というものがあります。
この音色を出すことを可能にしているのは「小氷期の木材」とストラディバリの「技術力」とされていますが、実は「それだけではない」とする科学者も存在します。
最新技術を駆使しても再現できない音色、それがストラディバリウスの音色なのです。
希少性
「歴史」で骨董品について触れましたが、骨董品には「定価」がありません。
欲しい人たちが「保有するための対価」を払うことで価格が決まります。ストラディバリウスも同じで、「上代」「定価」などは存在しません。
ましてや、故人が作ったもの、再現不可のものとなると希少価値はどんどん上がっていきます。
ストラディバリウスは現在600挺残存するといわれていますが、ほとんどが資産家にコレクションされているといいます。
つまり、誰のものではないストラディバリウスは存在しないということ。
現在日本では民間会社によっていくつかのストラディバリウスが管理されており、トップアーティストに「貸与」という形で一時的に保有する権利を与えているといいます。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は世界三大バイオリンの中のひとつ「ストラディバリウス」に焦点を当てて解説してみました。
「ストラディバリウスの音色」を聴く機会は決して多いものではありませんが、このコラムをきっかけにストラディバリウスに興味を持っていただけたら幸いです。
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