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フェラガモ(Ferragamo)の歴史

イタリアのファッションデザイナー、サルヴァトーレ・フェラガモが1927年に創立したのが始まりです。
もともと11歳のときに靴屋を開業していたフェラガモは、より多くの人に愛される靴を制作するべく、1910年半ばに15歳で渡米して勉学に励みます。
長い研鑽の“足を痛めない靴”の製法を独自に生み出し、履き心地の良さを重視した靴作りをモットーとしてさらに研究を重ねていきます。

そして1919年、カリフォルニア州で靴の修理とオーダーメイドでの制作を主とする靴屋をオープン。
彼が手がける靴はいずれも顧客それぞれの足にフィットするとして話題を生み、その情報はまたたく間にアメリカ中に知れ渡りました。
こうしてさらなる進化を遂げたフェラガモの靴は多くの著名人から注目されるようになり、いつしか映画関係者を通してマリリン・モンローをはじめとする数多くの人気ハリウッドスターたちの目にもとまるようになります。
これがきっかけで、フェラガモは“スターの靴職人”と呼ばれるほどの名声を獲得しました。

しかし、この状況にフェラガモ自身は納得していなかったようです。というのも、アメリカでの靴作りは機械で行うのが主流であり、これは手作りの靴にこだわりを持つ彼の信条に反していました。
そこで彼は手作りの靴を世界に届けるため、イタリアに戻ることを決めます。
こうしてイタリアに戻ったフェラガモが自分の名前を冠して設立したのが、「サルヴァトーレ・フェラガモ」というブランドです。

しかし、彼の新たな人生は茨の道でした。
フェラガモの靴作りに対する考え方に賛同する職人が見当たらず、またやっとの思いで集めた職人たちと作り上げた靴は、ニューヨークの大手靴専門チェーン店「I・ミラー＆サンズ」の社長に「くだらないもの」と一蹴されます。
そのほかにも、カリフォルニア州に置いていた店舗の運営が回らず、出資者の反感を買うことになったり、多くの職人たちがフェラガモのやり方に不満を持って離れていったり……。
そしてダメ押しの出来事となったのが、1929年に起こった世界恐慌です。カリフォルニア州に置いていた店舗を売却することになります。
このとき、フェラガモはイタリアで靴の販売を行わず、主にアメリカに製品を輸出する形をとっていました。
このことが裏目となり、1933年、一度は破産するまでに追い込まれます。

しかし、こうした絶望的な出来事の数々によって自分を見つめ直して成長したフェラガモは、苦難を乗り越えて再びフェラガモ社を立ち上げ、成功の道を歩んでいくことになります。
彼の死後も長女・フィアンマがあとを継ぎ、数々の名シリーズを世界に広めています。
こうしてフェラガモ社は、今やイタリアのファッションブランドに欠かすことのできない存在として、世界中から愛されています。